会社の成長にあわせてDX~ホールディングス化の相談までワンストップ対応で助かっています

多摩冶金株式会社 代表取締役副社長 山田 真輔様

多摩冶金株式会社様は、航空・宇宙・防衛分野をはじめ、幅広い産業向けに高度な熱処理技術を提供する金属熱処理専門企業です。国際航空宇宙産業の特殊工程認証「Nadcap」やロールス・ロイス認定など、国内でも取得企業が限られる認証を保有し、世界水準の品質と技術力を有しています。
1951年に創業者の山田啓様が会社を興され、1995年には二代目の山田仁様(現会長)が第一次成長期を築かれました。2017年には、三代目社長に山田毅様、副社長に山田真輔様が就任。第二次成長期へとバトンが受け継がれ、兄弟で「次世代を担うモノづくり」に挑戦されています。

同族経営においても、周りからは見えない葛藤の中で継ぐ決心を

多摩冶金様インタビュー-お兄様(山田毅社長)と2人代表の3代目として100年企業を目指し挑戦し続けています。山田副社長が多摩冶金を継がれるきっかけからお聞かせ下さい。

私が小学2年生の時、将来の夢として「父の会社で働くこと」を絵日記に書きました。というのも、当時父がよく私を工場へ連れて行ってくれて、そこで楽しそうに社員へ紹介してくれたんです。それが子供ながらにすごく印象に残っていて……。やはり、子供時代の記憶というのは非常に大きいですね。
特に同族経営やファミリービジネスにおいて、会社を継ぐ人・継がない人、あるいは継いでも喧嘩ばかりしてしまう人など様々ですが、一番大切なのは「子供時代に親子の関係性をしっかり築けているかどうか」だと感じています。

-お父様(2代目:山田仁様)から「会社を継がないか?」と声を掛けられて?

それはないですね。ただ、私の絵日記を祖父(創業者:山田啓様)も見て、すごく喜んでくれた記憶があります。

-小学生の絵日記の気持ちを、社会人になるまで変わらずに持ち続けていたということですか?

そこが難しいところで、すぐには会社に入れませんでした。実際に入社したのは2014年、33歳の時です。
なぜその年齢になったかというと、幼少期から会社のイベントに参加して社員の方々と仲良くなれた反面、それが次第に期待を背負うプレッシャーになっていたんです。「今の自分の力では、この会社を回していけない」「入りたいけれど、まだ入れない」という葛藤がありました。この「モヤモヤした気持ち」を解消し、自分の実力をつけるために、20代はあえて外で揉まれる道を選びました。ドイツの大学への留学、MBAの取得、さらには自らベンチャー企業を起業するなど、筋肉質なキャリアを20代で積んだ上での、33歳での入社だったんです。

多摩冶金様インタビュー-お兄様(山田毅社長)は先に入社されていたのですね。

兄はもともと会社を継ぐ気があまりなくキャリア志向が強かったため、最初は大手企業に入社しました。しかし、組織の1兵隊として動く働き方に疑問を感じたようです。「鶏口牛後(※大きな組織の末端にいるより、小さな組織でも頭になる方が良い)」という言葉がありますが、兄は「鶏の頭」になることを選び、25~26歳のタイミングで第二新卒として現場の下積みからスタートしました。

兄の入社から数年後の2008年、リーマンショックが起きました。会社としても非常に厳しい経営環境となり、当時、父(2代目:山田仁様)が「このままだとまずい。景気に左右されない事業をやろう」と航空機分野への参入を打ち出し、それを実務で力強く推し進めたのが兄でした。
ただ当時は、リーマンショックの影響によって会社の雰囲気も悪く、リストラも行わざるを得ないような状況下で、社員と経営陣が敵対関係にありました。これまでは、送られてきた材料を熱処理する手間なく稼げる仕事が中心でしたが、航空機部品の認定を取得するには英語での対応も必要になるなど、新たな課題に直面したんです。社内の反発は非常に強く、経営陣はまさに四面楚歌の状態でした。
そんな中、兄から「ちょっと助けてほしい」と声をかけられ、そのタイミングで「戻ろう」と決心しました。兄は航空宇宙の営業活動を推進していたものの、まだ体制が整っておらず、目標も届かないため社員の離職率は高い厳しい状況でした。

2014年に入社して目の前の問題を見た時、兄が現場を一生懸命支えてくれていたので、「自分がやるべきことは、現場に入ることではなく組織を整え作り直すことだ」と直感しました。
私自身、入社前にベンチャー企業を創業し、採用・会計・オペレーションをすべて一人で回した経験があったので、「現場は兄に任せ、自分は組織作りに専念しよう」と役割を分担したんです。
翌2015年から準備を進め、2016年には創業以来初となる新卒採用を実施しました。以降、毎年(コロナ禍の1年を除き)新卒採用を継続しています。私が入社した2014年当時は20代の社員がわずか1人でしたが、今では全社員の1/4が20代という組織へと生まれ変わりました。

社長と副社長、それぞれの役割で経営危機を乗越え、100年企業へ

多摩冶金様インタビュー-経営には波があり、危機的な状況を迎えた時にどのように乗り越えたか?
社長と副社長がそれぞれの役割の中で、会社を成長させてこられたのですね。

兄(社長)は営業力を武器に事業を伸ばしていく。一方で私は組織力を高め、いかに良い人材を集めて適切な教育を提供し、社員とともに会社を伸ばしていくか。そうした役割分担でやってきました。
私が決意して入社した2014年当時は社員数40名ほどでしたが、現在は70名にまで増えています。ただ、今後の事業拡大を考えると、さらに仲間を増やしていかなければなりません。だからこそ、私自身が今の仕事をどんどん他の社員へ委譲し、自分は新たな役割を担っていかないと、会社はさらなる成長を遂げられないと考えています。

-自社の強みである航空・宇宙業界向けの高度な技術力をさらに維持・発展させていくための取り組みについてお聞かせください。

一番大切なのは、お客様のご要望に丁寧に応え続けることです。お客様も常に変化する外部環境と戦っておられますから、時には初めて耳にするような、非常に難易度の高いご要望をいただくこともあります。現場が常に手一杯な状況の中で、そうした新たな課題に真摯に向き合えるかどうか。社員に対して「なぜこれに挑戦するのか」という“やる意味”を見出してもらうことが、すごく大事になってきます。
そこで数年前から、私たちは理念経営・目的経営である「パーパス経営」に取り組み、“目的”を土台に置いた経営へシフトしました。

多摩冶金の本質的な仕事、それは“世界に「人々の安全と安心」を届ける”ことです。私たちは、世の中に安全と安心を届けるための「手段」の一つとして熱処理を行っている。安全・安心づくりに真摯に取り組んでいるからこそ、お客様や社会から対価をいただき、それを引き継ぎながら100年企業、そして企業の永続化を目指すことができると考えています。
ですから、採用面接でもテクニックやスキル以上に「どういう想いや意図で面接に来てくれたのか」「どんな価値観を大切にしているのか」「自分の人生に働きがいを求めているか」というところを私たちは重視しています。

私自身、社員との会話の中でふと「目的」を抜かしてしまうことがあります。社員の目の前にあるのは日々の目標や生産性ですから、どうしても目先の達成に向けて走り回ってしまいますよね。
だからこそ、「私たちは、なんでこれをやっているんだっけ?」と、社員を本来の「目的」へと引き戻す役割が重要になります。「私たちは、世界に「人々の安全と安心」を届けるためにやっているんだよね」と、常に意識して言葉をかけるようにしています。
社員の一人ひとりが「自分の働きがいはこれだ」と実感し、その軸と多摩冶金というフィールドを重ね合わせてもらいたい。そう思える社員をいかに増やしていけるかで、社内の雰囲気や組織の力強さは大きく変わっていくと信じています。

多摩冶金様インタビュー-「会社の目的」を意識する機会は日常では多くないかもしれませんが、時に立ち止まり、自分自身と会社の目的を振り返って「目の前にある事にどう向き合うべきか?」を考えることは本当に大切ですね。

会社にとっても社員個人の人生にとっても、「目的の力」は本当に大きな原動力になります。

目的の力について最近心に残っているのは、Facebook(現Meta)創業者のマーク・ザッカーバーグがハーバード大学の卒業式で述べた言葉です。「目的とは、ある大いなる何かのために自分が存在し、その一部であること」「その大いなる何かを果たしていくために、自分はその役割を担うのだ」という概念です。「誰のために、何のために、なぜやるのか」という答えこそが目的であり、それがないと人間は本質的に動けないのだと思います。

日本の多くの企業では、KPIやKGIといった指標を使って利益や生産性を追求しますが、それらが「お金」という単一の指標になりがちです。しかし、目的がお金よりももっと深い場所にあるとしたらどうでしょう。
私たちの目的は、“世界に「人々の安全と安心」を届ける”ことです。だからこそ「そのために資金も稼ぐ必要があるけれど、目的はそれだけではないよね」という本質が見えてきます。目的の力を原動力にして、社員一人ひとりが内発的に行動できることこそが何より大切なんです。
こうした考え方を少しずつ社内に浸透させていった結果、少しずつ成果となって表れ始めました。採用面接で「応募者がどんな価値観を持っているか」「その価値観が多摩冶金に合っているか」をしっかりと見極めるノウハウが蓄積され、結果として離職率の大幅な低下につながっています。確実に新しいフェーズに入ってきたと感じていますね。

ちなみに売上目標の立て方にしても、ベースにあるのは「社員に幸せになってほしい」という想いです。そのために「人件費を年5%上げたい」「そのための必要経費や不測の事態に備えた蓄えが必要だ」と逆算して算出した数値を「目標売上」として社員に伝えています。

多摩冶金様:南工場-南工場を新設されたとのことですが、今後の事業展開についてお聞かせ下さい。

今後の展望としては、ひたすら“世界に「人々の安全と安心」を届ける”という目的をどう具現化していくかにつき発揮していきます。多摩冶金の価値や、当社だからこそ提供できる安全・安心の届け方を見つけ出し、航空・宇宙産業の柱をより強固なものに育てていきます。
民間航空機の需要は今後さらに伸びていくと予想されますが、一方でパンデミックや国際情勢の影響によって突然ブレーキがかかるリスクもあります。そのため、経営の安定化を図る観点からも「防衛分野」の強化にも注力していく考えです。
防衛領域に関しても、“世界に「人々の安全と安心」を届ける”という私たちの目的に直結する大切な仕事です。この分野では高度な特殊工程に加え、非常に高い機密性が求められますので、防衛ならではの厳格な組織体制を新たに再構築して臨みたいと考えています。

会社の成長にマッチした相談相手が必要

多摩冶金様:インタビュー-2019年に顧問税理士を弊社(G.S.ブレインズ)へ変更された理由をお聞かせ頂けますか?

経営陣が現在の3世代目(現社長・副社長)に交代をしたことが理由の一つです。それまでお付き合いしていた税理士法人は祖父(創業者)の代から長年お世話になっていたため、当時はそのまま「変えてはいけないもの」という認識がありました。しかし時代の変化、特にDXが進んでいく中で、コミュニケーションや対応スピードの面でマッチしない部分が出てきたんです。
例えば、G.S.ブレインズさんとは会計システムとして「マネーフォワード クラウド」を導入し、コミュニケーションもメールだけでなく「Chatwork」を活用しています。いつでも気軽に質問でき、迅速に回答をいただける環境があるのは本当にありがたいですね。

-コロナ前までは、毎月の訪問による月次監査報告でしたが、コロナ禍をきっかけにオンライン会議での報告へ切り替えさせていただきました。

そうですね。G.S.ブレインズさんに変更した後の実務面や経理・管理部門のスタッフを見ていると、Zoomなどのオンライン会議やChatworkといったデジタルツールがないと、もはや業務が成り立たないレベルにまで業務効率化が進んでいます。

-今後のご要望や期待される点などについて、お聞かせ頂けますか?

最近、ホールディングス化(持株会社化)について税務・会計担当の加藤さんに相談した際、すぐに専門部署の萱野さんをご紹介いただけて本当に助かりました。以前の税理士さんはほぼお一人で対応されていたため、その方の知見しか得られなかったのですが、そうした意味でも組織体制が整っている安心感がありますね。

南工場が完成した今、売上や利益をどのように設備投資や蓄財に振り分けるのか、またホールディングス化した場合の株式配分をどうするかなど、これまでとは経営テーマの次元が変わってきています。
これに伴い、見るべきKPI・KGI(経営指標)のポイントも変わりますので、会社の成長段階にあわせた指標設計についても、引き続きアドバイスをいただきたいと考えています。
多摩冶金は装置産業ですので、EBITDA(※利払い前・税引き前・減価償却前利益)などに落とし込み、「何をもってKPI・KGIを設定し、どう追いかけるのか」を明確にしたいんです。社員も同じ指標を共有し、「自分たちがこれだけ売上を伸ばした結果、決算書がこうなる」というプロセスや会社の成長を“可視化”することで、目指すべきゴールをわかりやすく示していきたいですね。

多摩冶金様:スタンダードブック-G.S.ブレインズとしても、わかりやすい経営数値の提示を通じて全力でサポートさせて頂きます。

今後、組織力をさらに高めていくためには、「会社の目的(パーパス)」と「社員の働きがい」が綺麗に重なり合うような数字の見せ方が不可欠です。それらを全員で共有し、同じ方向に向かって走っていくことが大事だと感じています。ただ、それは決して「お金(利益)だけ」を追いかけるものではありません。私たちの目的は“世界に「人々の安全と安心」を届ける”ことですから、その本質が数字を通じても伝わるように表現できたら理想的ですね。

実は3年前から、会社の数値や経営活動などをまとめた「多摩冶金スタンダードブック」という冊子を社員向けに制作しています。毎年内容を更新してページが増え、今では170ページほどになり、社員全員に配布しているんです。
その1ページ目には“世界に「人々の安全と安心」を届ける”という目的からスタートし、「第75期の結果」や「5年・10年後の事業計画」などを分かりやすく共有しています。そこには、「人件費をまず確保し、そこに利益と経費を足した結果として目標売上高が算出される」という、社員の幸せを前提とした考え方も盛り込んでいるんですよ。

-まさに会社の財産ですね。弊社でも毎年経営計画書を作成して社員へ配布しておりますが、やはり経営理念「お客様の成長支援が我社の使命です」から始まります。

この小冊子を作った理由はシンプルで、会社という組織は私自身も含めた「人間の集まり」だからです。だからこそ、組織づくりにおいて本当に重要なのは「心理学」なんですよ。「目的」という概念も、結局は人間の心理に基づいています。
理念経営というと「精神論」のように受け取られがちですが、決してそうではありません。人間の心理や行動の原理原則に基づいているからこそ、「自分を含めた組織全体がどうすれば主体的に動けるのか」という問いの答えになるんです。会社はどこまでいっても「人」で成り立っているのだと強く実感しています。

-本日は工場見学から、副社長様の経営の考え方などお聞かせいただき、多摩冶金様への理解がより深まりました。貴重なお話を本当にありがとうございました。

会社概要

社名
多摩冶金株式会社
業種
金属製品製造業
設立
1951年12月1日
所在地
東京都武蔵村山市伊奈平2-77-1
TEL: 042-560-4331
Webサイト
https://www.tamayakin.co.jp/

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